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トリル考~鍵盤が重いピアノは弾きにくい?

トリルがしにくい?

色々なピアノを弾く機会がある方はトリルのしやすいピアノ、しにくいピアノ、その中間くらいの普通のピアノ、があることに気づく方も多いと思います。

また、ある特定の箇所だけトリルがしにくいという場面もあるでしょう。これらは他のピアノと比較したときによく分かります。

ご自分のピアノですから、今どんな状態なのか知っておくのはいかがでしょうか。

トリルのしやすさ、しにくさの要因はいくつかあって、専門用語は出来る限り使わずに説明していこうと思います。

鍵盤(アクションの動き全般)をボールに例えると分かりやすいかもしれません。
想像してみてください。

「ふたつのボールでドリブルをしてみます。」
重いバスケットボールと、それよりも軽いバレーボールだとどちらが「早い」ドリブルをしやすいでしょうか? 当然、軽い方ですね。これをピアノに話を戻すと鍵盤の重さにあたります。 鍵盤が軽い方がトリルは断然しやすくなります。

ただ、後で述べますか、バスケットボールがだめというわけではありません。バスケットボールだってドリブルはできます。

次に、 「片方がバスケットボールで片方がバレーボールだったら?」 ドリブルはタイミングが会わず、しにくくなると思いませんか?

これは鍵盤の重さの調整が悪く、それぞれの鍵盤の重さが違う場合の現象となります。 例えば黒鍵を"2の指"、白鍵を"3の指"のトリルの場合、3の指は白鍵の奥寄りに置きますので、黒鍵よりも少し重く感じて正常で、それでも違和感はほとんどありません。

ですが、二の指の黒鍵の方が重く感じるピアノも案外多いものです。そのときトリルはバランスが取れず、しにくくなります。

また、アクションの調整(整調)がよくない場合、これはボールに例えるとドリブルしたとき、床の状態が斜めになっていたり凸凹だったりと言えばわかりやすいでしょうか。 床が凸凹だとイメージ通りのドリブル(トリル)はできません。

また、ハンマー(弦を打つフェルト)の弾力、形に問題がある場合も上手くトリルはできません。

これはボールの空気圧に例えましょう。 空気圧がバラバラだったり、高すぎたり低すぎたりした場合。床を打つ音量音質が変わってきます。

トリルは第一にピアニシモで弾けなければなりません。
第二に2音が同じ音量でなければなりません。 ピアニシモでトリルができない原因の多くはハンマーにあるといっていいでしょう。 ソフトペダルを使わなくてもピアニシモで容易にトリルができるためには、ボールの空気圧(ハンマーの状態)が適正で、なおかつ2音とも同じ空気圧でなければなりません。

空気圧が高すぎると床にボールが接触している時間(接弦時間)が短すぎてコントロールしにくくなります。表面が硬いピンポン玉でドリブルするよりも少し柔らかめの方がドリブルしやすいと思います。

また、バスケットボールにはバスケットボールに適した圧力、バレーボールにはバレーボールに適した圧力があります。(なので、バスケットボールだとダメということではありません。)

もうひとつ部品の動きが悪い場合(動いているけれども摩擦が邪魔をしてスムーズではないとき)、トリルは大変しにくくなります。(ドリブルしているときに敵に邪魔をされるとたとえましょうか。)

そしてアップライトとグランドの違いは、床に近いところでもドリブルができるか、できないか、の差となります。床に近いところでドリブルしたほうが早いドリブル(トリル)が可能となります。

原因によってその場で対処出来るもの出来ないものがありますが、私たち技術者の腕の見せ所は、原因をみつけ的確な対処をし、弾きやすいピアノに仕上げることにあります。そしてお客様に喜んでいただけることを生きがいにしております。弾きにくいなと感じましたら遠慮せずに担当の技術者に相談してみてはいかがでしょうか。

重たい鍵盤は弾きにくい?

最後にバスケットボールとバレーボールはどちらがよいのでしょう?
(鍵盤が重いピアノは本当に弾きにくいのでしょうか?)

ボール(ハンマー)を短時間に低コストで簡単に交換することはなかなかできないので、ピアノを選ぶ時に十分考慮する必要があります

鍵盤の重いピアノを軽々と弾いてしまう方には軽いピアノは不向きだと思います。ハンマーも基本的に軽いものが装着されていますので変化磨耗も早くなる可能性があります。

また、お子様や女性がストレスを感じるくらい鍵盤の重いピアノは選ぶべきではないと思います。

では鍵盤の重いピアノは弾きにくいかというと、そんなことはありません。 きちんと調整することにより、とても弾きやすくなります。

ただし、重たい鍵盤はトリルがどうしても遅くなってしまったり、早いパッセージなどもテンポを落とす必要があります。これにより表現力が劣るか?というと、私は違う思います。

でもストレスを感じていては気持ちよく弾けませんから、やはり購入時に詳しい方に相談するか、すでにピアノをお持ちの場合は担当技術者に相談してみてはいかがでしょうか。

参考…グランフィールという、アップライトでも床に近いところでドリブルできるよう工夫したツールがあります。

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