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ピアノ室の音響について相談いただきました

ピアノ室の音響についての相談を受ける事がございます。
どの部屋に置いたらよいだろうか? 壁の材質は?広さは?天井の高さは?などなど。

今回は、頂いたメールを抜粋・修正しながらではありますが、少しの参考になるのではと思い掲載させていただきます。ただし、それぞれのピアノの個性や弾き手の好みなどもございますので、実際には状況に応じて、吸音・反射を考えていきます。

また、部屋に応じたピアノの調整も重要となります。メールの中では中低域の吸音について強調しすぎているかもしれませんが、中低域の吸音は大変に難しいので、こういった書き方になってしまったかもしれません。高域の吸音はちょっとした工夫で簡単に可能です。

※間取り図をメールに添付していただきましたが、ここでは掲載しておりません。

<お客様のメール>

ホームページを見させていただきました。
私は東京在住のものでただいま家を新築しております。ピアノが趣味でヤマハのC5を所有しているのですが、新築する家の壁の素材で困っております。

そこで大変恐縮ではありますがアドバイスをいただけないでしょうか。部屋は6畳にちょっとかける程度で添付してある図のようになっております。床はフローリングにする予定です。壁の選択肢としてはいまのところ珪藻土か板張りということになっています。

いきなりの質問メールで失礼いたしました。ホームページを見させているといろいろ面白い情報が書いてあり、特に音響なども書かれていたのでご存知ではと思って書かせていただきました。

音響に関する情報にも結構思い当たる節がありました。お手数とは思いますが、是非ご教授願えればと思います。

<私からのお返事>

はじめまして。メールを有難うございます。
一般家庭におきましては、ホールのような長い残響時間と、それに見合った心地よい音量(狭いスペースの場合、直接音・反射音が大きすぎて耳障りになる事がある。)は望めませんので、吸音することを考えます。

直接音だけでも高域(明るい音色)は出ますが、できるだけ高域は吸音させずに、低域~中域を吸音させることを考えると、明るさを損なう事なく、かつ、まろやか・柔らかな音色を作る事ができます。できれば、ピアノの屋根を開けて弾いてもうるさくない音響に仕上げる事ができるとベストです。

実際に見たわけではないので確かではありませんが、図のような部屋で、家具などを置かない場合、ほとんどの場合は弾いていて心地よくありません。

珪藻土か板張りを予定とのことですが、想像ではどちらも厚さのない薄いものでしょうから、感覚的にはほとんど差はないと思います。強いて言えば、高域が板張りよりも珪藻土の方が多少吸収されるでしょうか。問題は、その(珪藻土・板)奥に何があるかで大きく変わってきます。理想を言えば、薄いベニア板(もしくは孔あきボード)の向こうに厚さ5cmくらいのグラスウールを当て、さらに向こう側には10cm以上の空間があれば、高音域は反射し、中低音域が比較的吸音されるでしょう。少々部屋が狭くなりますが、大工さんにお願いしてもよろしいかと思います。下図をご参考ください。
吸音壁 天井も同じで薄めの材質の向こう側に吸音素材+空間があればよいかと思います。表面がつるつるしていれば、高音域は反射されやすくなります。

床はなかなか手を加える事はできないでしょうね。…とここまで書きましたが、現実的にはもう工事も始まっているでしょうし難しいかもしれませんね。完成後に、容積のある家具などを配置して調整していくというのが一番簡単かもしれません。ピアノの下に、何か置くのもよいかと思います。 また、ピアノ本体の調整も重要です。(これは技術者任せになりますが。)

<お客様のメール>

いきなりの質問に対して丁寧なご返信、ありがとうございます。

> 直接音だけでも高域(明るい音色)は出ますが、
> できるだけ高域は吸音させずに、低域~中域を吸音させることを考えると、
> 明るさを損なう事なく、かつ、まろやか・柔らかな音色を作る事ができます。

前の家では高音が金属音気味だったので高音が強調されるのには少し抵抗があります。しかし以前スタインウェイのBをXXXのショールームで弾いたときもかなりキンキンした感じの音が出ていたので本来の音なのかもしれません。

やはり大きなグランド(Dとか)になってくるとその辺のバランスが取れてくるようにも思えました。

> 問題は、それ(珪藻土・板)の奥に何があるかで大きく変わってきます。

ピアノに向かって右側(音が反射していくほう)には階段がありまして、空洞のようになっている感じです。

> 床はなかなか手を加える事はできないでしょうね。

床はもう張っちゃってあるので無理でした・・・
ピアノメーカーに問い合わせたところ響きすぎる場合は絨毯を敷いたほうがよいといってましたが、やはりそうなのでしょうか。

> 完成後に、容積のある家具などを配置して調整していくというのが
> 一番簡単かもしれません^^;
> ピアノの下に、何か置くのもよいかと思います。

これはかなり意外でした。家具を置いたほうがいい音になるんですか・・・
かなり衝撃です。ピアノの下にはたとえばどのようなものを置けばよいのでしょうか?

> また、ピアノ本体の調整も重要です。(これは技術者任せになりますが。)

ピアノは結構念入りに調整してもらっています。
しかしやはり調律してから一ヶ月ぐらいまでが一番いい音でしょうか。

<私からのお返事>

> 前の家では高音が金属音気味だったので高音が強調されるのには少し抵抗があります。

キンキンした耳障りな音は適性な調整、音響ではありません。
お話のショールームのピアノも、何か理由があるかと思います。
また、キンキンした不快な音を、ピアノ本体を調整して修正するのと、
部屋側で調整するのとでは結果がまったく変わってきます。

ピアノを適正に調整して、かつ、部屋の響きをよくする(中低域吸音・高域反射)と、前のメールでもお話した、「明るく豊かで(キンキンではない)、かつ、まろやか・柔らかな音色」となります。

ピアノを調整せずに、部屋側で調整したり(高域徹底吸音)、また、蓋を全て閉じて、その上に譜面台を置いたりする方もいらっしゃいますが、その場合は、「こもった感じ、響きがなく、豊かでない、音色」となります。

> ピアノに向かって右側(音が反射していくほう)には階段がありまして、空洞のようになっている感じです。

高域は反射し、中低域は外に逃げていくというイメージになりますので、よい結果になると思います。壁が薄ければなお良いです。

> ヤマハに問い合わせたところ響きすぎる場合は
> 絨毯を敷いたほうがよいといってましたが、やはりそうなのでしょうか。

床下に音が逃げていくような構造であれば、中低域も吸音されますが、そうでなければ、絨毯で吸音される音域はは高域のみとなります。厚めの絨毯のほうが良いでしょう。

> > 完成後に、容積のある家具などを配置して調整していくというのが
> > 一番簡単かもしれません
> > ピアノの下に、何か置くのもよいかと思います。
> > これはかなり意外でした。
> 家具を置いたほうがいい音になるんですか・・・
> かなり衝撃です。
> ピアノの下にはたとえばどのようなものを置けばよいのでしょうか?

いい音になるというわけでなないのですが、弾いていてストレスにならないといったほうが正しいかもしれません。部屋が決まってしまってるのであれば、吸音する物を配置するしかないので、容積があって吸音しそうなものを置きます。

実際に生活している空間は比較的、適当かと思います。(本棚があったり、ベッドがあったり、ソファがあったり、小物があったり。)ピアノの下には、そうですね、大きな縫いぐるみとか。衣装ケースとか、大きな段ボール箱の中に布団など入っているともっと良いです。(表面がツルツルであれば高域は反射します。)

これらは低域~高域まで吸音されますので、絨毯以上の効果があります。

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