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タッチと鍵盤重量のばらつき~その調整~

鍵盤の重さはいつもばらついている

新品のピアノは概ね鍵盤の重さは揃っていますが、「関節部分のトルクのばらつき」により、鍵盤重量はどうしてもばらついてまいります。

以下のようなテストを行ってみてください。

1. mfくらいの音量で順番に弾いてゆき、音量の大きい音をみつけます。
2. ダンパーペダル(右のペダル)を踏みながら、ppで弾いてゆき、さきほど見つけた音の鍵盤の感触をチェックしてみる。
3. さきほど見つけた音は、周辺の鍵盤よりも軽い感じがしませんか?

このような症状は、いつもいつも起こっていて、調律毎に調整したいところです。

演奏上、どんな支障がある?

では、演奏上どのような支障があるでしょうか。

1. 粒揃いの音、和音がでない。
2. トリルがうまく決まらない。
3. 装飾音がうまく決まらない。
4. 単純に、コントロールしにくく弾きにくい。

原因は?

多くの場合はシャンクフレンジという関節部分のトルクがばらついてくることが原因です。ばらついてくる原因は以下の通りです。

1. 使用頻度が高い箇所が緩くなってくる。(トルクが落ちる)
2. 潤滑剤の種類や使用状況によりばらついてくる。
3. 温度・湿度の影響。
4. その他。

調整方法は?

シャンクフレンジという関節部分のパーツを交換するのが本来の調整方法ですが、短期間で変動してしまうし、潤滑剤の使用でも簡単に変化してしまいます。そう考えるとパーツの交換はフレンジにも負担かかるし、時間も、コストも必要となります。

5年ほど前(2010年)から私が行っている方法は鉛を利用して重量を調整する方法です。(※アップライトピアノは鉛を使用しない方法もあります。)

鍵盤重量調整

写真をよく観ると特に中音部の白鍵に多く鉛が集中しているのを確認することができると思います。温度湿度の影響もありますが、ほとんどの場合は使用頻度によるフレンジ(関節部分)のトルク低下(緩み)が原因となることが分かると思います。



調整方法(技術者向け)

1. フロントキーピンにシリコン等を塗布、ローラーにテフロン粉等を塗布、シャンクフレンジセンターピンにシリコン等を塗布。
2. その他、必要に応じてキャプスタンボタン、その他の摩擦部分をチェック。
3. こうすることにより、各パーツがスムーズに動くように処置をします。

4. ダンパーペダルを踏みながらppで音量のばらつきを探してゆく。
5. mfで音量のばらつきを探してゆく。
6. ばらつき箇所が、鍵盤重量が原因であることを確認する。
(時には整調や整音、その他に原因がある場合があるので注意。)
7. 鉛を置く箇所・個数を特定していく。

※錘を使用して計測してゆく方法もありますが、DW.UWの バランスも考えると自身の感覚により調整していったほうが早いし、演奏者の立場になることができると思います。
※アップライトピアノはキャプスタンボタン前後調整によりばらつきを取る方法もあります。

整音への影響

演奏者はどうしてもピアノのコントロールが出来なくて(例えばピアニシモが粒揃いにならない・装飾音が決まらない。)、技術者はハンマーを柔らかめにし、演奏者はソフトペダルを過度に使用し、そういった必要が生じるケースが多々あります。

しかし、鍵盤重量(音量)がきっちりと揃うと、不思議なことに整音が多少ばらばら
でも気持ちよく弾くことができます。

キンキンと硬質な音色のピアノでさえも、とてもコントロールがしやすくなります

最後に(技術者向け)


一見すると、全体のバランスウェイトが崩れてしまうようにも思われますが、指に伝わる感触に重点をおきながら調整してゆくと、ほとんど問題ありません。

是非、多くの技術者に試みて頂き、よい結果になるということを実感して頂ければと思います。

そして将来的に、この調整方法がごくごく一般的になるよう期待しております。

最後に使用した部品をご紹介いたします。
(剥がす際も接着剤が残らず綺麗に取り外しできます。)

NO.6B 板ウエイト 5+10g刻 1.44Kg入 黒テープ 貼り付けバランスウエイト
http://www.safety-netshop.com/item/005-ST-NO-6B/

2015年4月

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